
- われらの商法总则16(2021年版:商法の法源、適用順位)
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの商法総則16(2021年版:商法の法源、適用順位)> ラジオ収録20210507 テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年) 東洋大学教授 楠元純一郎(商法) 東洋大学講師 根岸謙(民法) 哲学者 松尾欣治 東洋大学4年生 夏玮怡 編集 レオー <不文法としての慣習> 慣習→ある社会において一般に守られるべきだと考えられている繰り返し行われる行為の規範→事実たる慣習 慣習法→事実たる慣習に法的確信を伴う(法的拘束力があるものと意識され、広く認知されている)場合 ⇨慣習法の存在とその内容は、訴訟当事者において立証責任があるのではなく、裁判官が自ら探知し、適用する。 <判例> 大判大5・1・21民録22・25 ◆法例第二条に所謂慣習は法則たる効力を有する慣習即ち慣習法を指称し、民法第九二条に所謂慣習は単純な慣行の事実で法律行為の当事者の意思を補充するものである。民法第六一七条の賃貸借終了時期に関する規定は専ら当事者の利益保護の為に設けたものであるから、之と異る慣習ある場合当事者が該慣習に依る意思を以て法律行為をしたときはその意思に従う。 商法1条2項→「商事に関し、商法に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる。」 ※平成17年商法改正で、「商慣習法」から「商慣習」に改められた。 →法の適用に関する通則法(通則法)3条の「慣習」も、判例上は「慣習法」と解釈されているので、それとの平仄を合わせるためではないか。 →商法1条2項の「商慣習」と通則法3条の「慣習」は統一して解釈すべき →だとすれば、商法1条2項の「商慣習」は、引き続き「商慣習法」と解釈すべき →慣習法は慣習(事実たる慣習)に法的確信が伴ったもの。 →慣習(事実たる慣習)は、任意規定と異なる慣習で当事者がそれに従う意思があれば当事者を拘束(民92条) →慣習(事実たる慣習)も法源となりうる。 →商慣習法には事実たる商慣習は含まれない。 →商慣習が法的確信を伴わない事実たる商慣習を含むのであれば、商慣習が民法の強行規定にも優先するには無理がある。 商法1条2項→ 商慣習法(法文上は商慣習)>民法(強行規定・任意規定)) 通則法3条→「公の秩序または善良な風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたものまたは法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。」 「法の適用に関する通則法」(通則法)→慣習の法的効力に関する一般規定 通則法3条の「慣習」→法的確信を伴わない事実たる慣習を含まない→「慣習法」⇨判例 通則法3条→制定法優先主義→ 法令(制定法)>慣習(法)(法令を補充する効力→法令がない場合に適用) ※商法1条2項と通則法3条の関係は?は?→商法1条2項は通則法3条の例外 商法1条2項 → 商慣習(法)>法令(民法) 通則法3条 → 法令(民法)>慣習(法)(商慣習(法)・民事慣習(法) ※制定法優先 民法92条→「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習(法的確信を伴わない事実たる慣習(大判大5・1・21民録22・25))による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」 法令(民法の強行規定)>当事者が慣習(事実たる慣習)に従う意思がある場合の慣習>法令(民法の任意規定=公の秩序に関しない規定) 通則法3条と民法92条を組み合わせると? 通則法3条 → 法令(民法を含む)>慣習法(商慣習法・民事慣習法) 民法92条 → 当事者がそれに従う意思のある事実たる慣習>法令(民法の任意規定) 法令(民法の強行規定)>当事者がそれに従う意思のある事実たる慣習>法令(民法の任意規定)>法的確信を伴う民事慣習法 ※法的確信を伴う慣習法が法的確信を伴わない事実たる慣習に劣後→ ?→ 私的自治が認められる契約などの法律行為の解釈において、事実たる慣習が任意規定に優先することは不合理ではないとする意見。 商法1条2項の「商慣習」→「事実たる商慣習」を含まない「商慣習法」→法的確信を伴い、広く認知されているもの では、法的確信を伴わない事実たる商慣習はどこに位置付けられるのか? 商慣習(法)(商1条2項)>民法の強行規定>当事者がそれに従う意思がある事実たる商慣習(民92条、商法は民法の特別法)>当事者がそれに従う意思のある事実たる民事慣習(民92条と民法は商法の一般法)>民法の任意規定>法的確信を伴う民事慣習法 商法の法源の適用順位 条約(自動執行条約)>商事自治法(会社の定款など、法的な根拠があるもので、強行法規に反しないもの)>商事特別法(国内法化された条約を含む)>商法典>法的確信を伴う商慣習法>民事特別法>民法典(民法の強行規定)>当事者がそれに従う意思のある事実たる商慣習>当事者がそれに従う意思のある事実たる民事慣習>民法の任意規定>法的確信を伴う民事慣習法
- われらの商法总则15 2021年版:民事の世界と商事の世界はどのように違うのか?
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの商法総則15(2021年版:民事の世界と商事の世界はどのように違うのか?)> ラジオ収録20210420 テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年) 東洋大学教授 楠元純一郎(商法) 東洋大学講師 根岸謙(民法) 哲学者 松尾欣治 国際関係学者 福留邦浩 編集 レオー 東洋大学の大学院生、学部生のみなさん 1ヨーロッパ大陸法系(私法)の基盤としてのローマ法 2日本民法の4大原則とフランス革命 3民事の世界 4商事の世界 →営利性、簡易・迅速性・定型・画一性、大量性、集団性、反復・継続性、公示主義、強化された外観主義、強化された契約自由主義、責任加重主義
- われらの商法总则17 営業能力
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの商法総則17(営業能力)> ラジオ収録20210629 テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年) 東洋大学教授 楠元純一郎(商法) 東洋大学講師 根岸謙(民法) 哲学者 松尾欣治 編集 レオー 営業→法律行為(契約)→行為能力が必要→単独で法律行為をして、完全な法律効果を発生させること。 ①行為能力とは何か? →自然人の行為能力とは単独で法律行為をして完全な法律効果(権利義務の発生・変更・消滅)をもたらすことのできる能力といってよいか?法人の行為能力とは機関がその権限の範囲内で行った行為の効果を法人に帰属させる能力といってよいか? 法律行為→意思表示で権利義務の発生・変更・消滅をもたらす行為 →契約(双方行為)、単独行為(遺言・取消し、代理の追認)、合同行為(社団の設立、会社設立?) →営業能力 営業能力→営業権利能力、営業行為能力 意思能力→自然人特有のもの 意思無能力→無効 第二節 意思能力 民第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。→立証が困難 ②意思能力がないということで無効となったケースはあるのか? その場合、困難な立証をどのようにしているのか? 立証の容易化→制限行為能力制度 取消しは、取り消さなければ有効、つまり、表意者等に無効にするか選択させる制度。 制限行為能力者による営業 <1> 未成年者→20歳未満→未熟なため判断能力が必ずしも十分ではないことから保護する必要あり (例えば、未成年者が騙されて高額な買い物をさせられる!) →法定代理人(親権者・未成年後見人)の同意が必要 →法定代理人は読んで字のごとく代理人であることから、代理人であるが、同意権もある! →同意なし→取消し 取消し→取り消されて初めて無効となる→取り消されなければ有効→いつ取り消されるかわからない→取引の安全上、支障あり。 同意は不要、同意がなくても取り消されない場合 →未成年者が単に権利を得(お年玉をもらう=贈与契約=法律行為→贈与を受ける) 義務を免れるような法律行為 →未成年者を害さないから 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産=お小遣いのこと? (未成年者の法律行為) 民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。 2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。 3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。 ③ここで法定代理人とはなんなのか?→ここで法定代理人が親権者・未成年後見人であるという根拠条文はどこにあるか? ④法定代理人の同意のない未成年者の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか? 取消権者→未成年者、法定代理人(親権者・未成年後見人) (取消権者) 民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。 未成年後見人とは 民法第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。 ⑤未成年後見人(後見人)はなぜ代理人なのか?財産に関する法律行為について被後見人を代表するからなのか? (財産の管理及び代表) 民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。 2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。 <未成年者が営業をする場合> 未成年者の営業許可制度 (未成年者の営業の許可) 民法第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。→法定代理人の同意は不要、同意がなくても取り消されない。 2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。 (未成年者登記) 商法第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。 →未成年者登記簿(どのような営業について許可をしたか) (未成年者登記の登記事項等) 商業登記法第三十五条 商法第五条の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。 一 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所 二 営業の種類 三 営業所 2 第二十九条の規定は、未成年者の登記に準用する。 以上が、未成年者自身が営業をする場合 営業(法律行為)のたびに、法定代理人の同意を得る方法→煩雑 営業許可を得て、登記をした上で、営業をする方法 では、未成年者が誰かに代わって営業をしてもらうことはできるか? <未成年者に代わって代理人が営業をする場合> 法定代理人は未成年者を代理して営業ができるか? 法定代理人(親権者・未成年後見人)には代理権があるため、代理営業ができる。 →親権者が未成年者に代理して営業をする場合、登記は不要。 未成年後見人が代理営業をする場合、登記が必要→商登40条 (後見人登記の登記事項等)→親権者については登記は関係なし。 第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別 二 被後見人の氏名及び住所 三 営業の種類 四 営業所 五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨 六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨 七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容 2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。 未成年者の法定代理人(親権者・未成年後見人)には同意権も代理権もある! <2> 成年被後見人→精神障害によって事理弁識能力を欠く常況(判断能力が常にない)にあって、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者 →詐欺被害等からの保護の必要 (後見開始の審判) 民法第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。 (成年被後見人及び成年後見人) 民法第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。 (成年被後見人の法律行為) 民法第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。→成年被後見人の保護 ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。 →人権問題 日用品の購入その他の日常生活に関する行為以外はすべて取消し 営業行為は日常生活に関する行為ではない! 成年被後見人の営業行為→すべて取消し→成年被後見人は営業がまったくできない! →成年後見人に代理営業をやらせるほかない。 成年被後見人が勝手に行った営業→取り消される ⑥成年被後見人の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか? 取消権者→成年被後見人、成年後見人(代理人) (取消権者) 民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。 ⑦成年後見人はなぜ代理人なのか? (財産の管理及び代表) 民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。 2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。 (後見人登記) 商法第六条 後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。 2 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。→包括代理権 (後見人登記の登記事項等) 商業登記法第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別 二 被後見人の氏名及び住所 三 営業の種類 四 営業所 五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨 六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨 七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容 2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。 <3> 被保佐人→精神障害により事理弁識能力が著しく不十分であり、家庭裁判所により保佐開始の審判を受けた者 いかなる法律行為が制限されるのか?→民13条1項各号の行為→重要な財産行為 制限されるとは?→保佐人の同意なければ、取り消される 民13条1項各号の行為(重要な財産行為=営業行為もそれに含まれる)を被保佐人がするときは、保佐人の同意が必要。 →保佐人の同意がなければ取消し 問題は、保佐人には→同意権はあるが代理権はない →保佐人が代理営業をすることはできない。 保佐人に代理営業をしてもらうこともできない。 →被保佐人は、保佐人が同意してくれなければ、自ら営業行為をすることができず、 さらに、保佐人に代理営業をさせることはできない! →被保佐人は未成年者や成年被後見人や被補助人に比べて、代理営業をさせることができないという意味で、最も不利な立場に置かれているのではないか! そこで、解釈 →営業行為をする被保佐人(商人)の代理人として支配人を選任 その支配人の選任につき、保佐人の同意を得る。 その支配人に代理営業をさせることは解釈上、可能か?。 ⑧支配人の選任について保佐人の同意を得れば、被保佐人は支配人に代理営業をさせることができるとする学説について、支配人の選任は民法13条1項各号のどれに該当するのか? 民法第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。 (被保佐人及び保佐人) 民法第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。 (保佐人の同意を要する行為等) 民法第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。 一 元本を領収し、又は利用すること。(銀行預金の引き出し、元本すなわち利息・賃料などを生ずる財産の返還を受け、または元本として貸与すること) 二 借財又は保証をすること。(借金(手形の振出・裏書も含む)、保証人になること) 三 不動産その他重要な財産(動産、有価証券、特許権・著作権も含む)に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。(売買・贈与を受けること・廃棄) 四 訴訟行為をすること(原告となること)。 五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。(贈与をすること・和解・仲裁合意) 六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。 七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。(自己にとって不利益な行為) 八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。 九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。(短期賃貸借) 十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。 2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。 3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。 4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。 ⑨ここで元本を領収し、又は利用することとはどういうことなのか? ⑩保佐人の同意またはこれに代わる許可の「これに代わる許可」とはなんなのか? →家庭裁判所による許可 ⑪保佐人の同意等のない行為を取り消すことができるのは誰なのか?→民法120条が制限行為能力者に加え、「同意することができる者に限り」取り消すことができると規定しているからでよいか? ⑫民法13条1項各号と営業行為との関係をどのように説明すればよいか?重要な財産行為という点で共通といえばそれで足りるのか? →例示列挙なのか、限定列挙なのか? →(取消権者) 民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。 <4> 被補助人→精神障害により事理弁識能力が不十分(まだらボケ状態)であり、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者 民法13条1項各号の一部の行為をする場合に、補助人の同意を必要とし、同意がなければ取消し 補助人には審判を受けた行為については代理権があることから、代理営業ができる。 民法第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。 2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。 3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。 (被補助人及び補助人) 民法第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。 (補助人の同意を要する旨の審判等) 民法第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。 2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。 3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。 4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。 ⑬補助人の代理権に関する根拠条文は民法876条の9でよいか? (補助人に代理権を付与する旨の審判) 民法第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。 2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。
- われらの商法总则14 2021年版:商人とは?商行為とは?民法から見たら?
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの商法総則14(2021年版:商人とは?商行為とは?民法から見たら?)> ラジオ収録20210414 テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年) 東洋大学教授 楠元純一郎(商法) 東洋大学講師 根岸謙(民法) 哲学者 松尾欣治 国際関係学者 福留邦浩 編集 レオー 商法を担当します楠元純一郎です。商法総則に関するこのラジオ講義も2年目を迎えました。今回から、商法を一般市民の方々にもよりいっそうわかりやすく解説し、そして民法や哲学などの視点からも多角的にとらえてみたいとの思いから、昨年に引き続き、哲学者の松尾先生のご出演に加え、新たに同僚の民法学者である根岸謙先生と私の高校の同窓で国際関係学者の福留邦浩先生にもお時間の許すかぎり、適宜ご出演いただくことになりました。とくに、商法を教える際に、その一般法である民法との絡みで、民法学者はどのように教えているのか、たいへん興味がありましたので、この場で確認できるというのは私にとってもたいへんありがたいことだと思います。また、法律専門外の学識経験者からも斬新な視点を示してもらえることがあれば幸いに存じます。まさに、商法の民法・哲学との融合に期待しています! 本日のテーマは、「商人とは何か?商行為とは何か?民法から見たら?」。 1 商人の概念 → 商法総則の適用 →商法総則とは商人に関する法 商人の定義には商行為の概念が必要! 2 商法総則は商人の何に関する法か? → 商人の物的施設(商号、商業登記、営業譲渡、商業帳簿等)と商人の人的施設(商業使用人、代理商)に関する法 → 商人とは何か?商人なら何ができるか?商人なら何をしなければならないか? 3 商人も人 → 人とは何か? 一般の人<特別な人(商人<会社) 自然人(一般の人、商人(個人商人))<法人<会社(営利社団法人) 4 民法はこの世の中の森羅万象をどのようにとらえているのか? → 人、物、そして?※権利は? → 人、物、行為(権利は行為の結果発生するもの) 5 商行為の「行為」とは何か? → 適法行為→法律行為、準法律行為(事務管理)、事実行為 違法行為→不法行為 ※不当利得(行為ではなく事実状態) → 法律行為とは意思表示を要素として一定の法律効果(権利・義務)を発生させる法律要件 法律行為→単独行為(遺言、解除権、取消権) 契約 合同行為(社団の設立?) → 商行為の行為の中心は法律行為の中の契約 → 絶対的商行為は安く仕入れて高く売る販売行為等 → 営業的商行為は各種のサービス業 → 附属的商行為は、商人が営業のためにする行為(営業資金の借入れ、広告等) 6 商人の概念 → 商法総則の適用 →商法総則とは商人に関する法 商人の定義には商行為の概念が必要! 7 商法総則は商人の何に関する法か? → 商人の物的施設(商号、商業登記、営業譲渡、商業帳簿等)と商人の人的施設(商業使用人、代理商)に関する法 → 商人とは何か?商人なら何ができるか?商人なら何をしなければならないか?
- われらの会社法26 (2021年版:会社って何?民法から見たら?)
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの会社法26(2021年版:会社って何?民法から見たら?)>ラジオ収録20210420 東洋大学教授 楠元純一郎(商法) 東洋大学講師 根岸謙(民法) 哲学者 松尾欣治 国際関係学者 福留邦浩 編集 レオー 東洋大学の大学院生、学部生のみなさん 会社法を担当します楠元純一郎です。会社法に関するこのラジオ講 義も2年目を迎えました。今回から、商法を一般市民の方々にもよ りいっそうわかりやすく解説し、そして民法や哲学などの視点から も多角的にとらえてみたいとの思いから、昨年に引き続き、 哲学者の松尾先生のご出演に加え、新たに同僚の民法学者である根 岸謙先生と私の高校の同窓で国際関係学者の福留邦浩先生にもお時 間の許すかぎり適宜ご出演いただくことになりました。とくに、 会社法を教える際に、その一般法である民法との接点を民法学者は どのように教えているのか、たいへん興味がありましたので、この 場で確認できるというのは私にとってもたいへんありがたいことだ と思います。また、法律専門外の学識経験者からも斬新な視点を示 してもらえることがあれば幸いに存じます。まさに、 会社法の民法・哲学との融合に期待しています! 本日のテーマは、「会社って何?民法から見たら?」。 会社は営利・社団・法人である。 営利とは →会社法上は、対外的活動により利益を追求し、構成員(社員=出 資者=株式会社なら株主)にその利益を分配すること。 →分配の根拠→会社105条2項→剰余金配当請求権、残余財産分 配請求権の全部を与えない旨の定款の定めは無効。 もともと、営利の意味は、収支相償うこと。 社団とは →人の集合体 →出資者(社員=構成員)が出資をし、社員総会を開催 なぜ、社員は社団の構成員社員は出資をした会社の最終的なリス クの負担者であることから、社員の会社の実質的な支配権があるべ きという発想。 ※一人会社は潜在的には社団→会社法は会社を社団であるとは定義 しなかった。 → 同じく人の集合体である民法上の組合とは? ※民法上の組合にはどのようなものがあるか? 民法上の組合は営利か非営利か?→契約次第? → 財団とは? →物の集合体 →寄付者が寄付をし、社員が存在しない。 法人とは 会社は法人とする(会社3条)。 法人って何?→ 自然人以外の人→人には自然人と法人がある。 →権利義務の主体→権利を有し、義務を負う受け皿 法人の特徴 ①自然死がない ②法人の名前をもつことができ、登記もできる。 ③自然人とは別個の会計(法人名義で銀行口座が作れる!) ④法人の名前で訴えたり、訴えられたりする。 → 民法では法人についてどのように説明するのか? 私権の享有は出生に始まる(民3条1項)。→私権って何ですか? 会社法上の会社以外の法人→非営利法人(公法人、公益法人、その 他の非営利法人(協同組合、一般社団法人、一般財団法人など)) 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない (民33条1項)。 共同体(団体)だからといって、常に法人であるわけではない。 → 例えば、民法上の組合、同窓会(法人格なき社団)。 法人の権利能力→法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約 款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う( 民34条)。 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営 利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運 営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによ る(民33条2項)。
- われらの会社法25 組織再編 事業譲渡
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの会社法25(組織再編、事業譲渡)> ラジオ収録20210123 組織再編行為 組織再編行為→複数の会社が一つになったり(会社合併) 一つの会社が複数に分裂したり(会社分割) 会社の上に完全親会社ができたり(株式交換・株式移転) 会社の下に完全子会社ができたりする行為(株式交換・株式移転) M&A(Merger & Acquisition)→合併と買収→企業買収 会社法上の定義 →組織再編行為は、 会社法の定める一定の手続(効力発生前の手続) (代表者同士の契約締結→事前の開示→(組織再編行為の差止め)→株主総会特別決議による承認→反対株主の株式買取請求権(会社からの退出の機会→組織再編の効力発生→事後の開示→決議の無効・取消し)) を経ることにより、 法律上当然に、会社間または新設会社との間で、 権利義務の包括承継という効果を、 形式的にまたは実質的に生じさせる行為。 組織再編行為にはなにがあるか? →合併 株式交換 株式移転 会社分割 <合併のパターン> A社←ーーー合併契約締結ーーー→B社 ① A + B → A A(存続会社)がB(消滅会社)を吸収合併 ② A + B → B B(存続会社)がA(消滅会社)を吸収合併 ③ A + B → B A(消滅会社)がB(新設会社)を新設合併 ④ A + B → C AとBがC(新設会社)を新設し、三社で合併し、AとBが消滅(新設合併) 対価 ①の場合 B社の株主らはA社からA株式を対価として受け取る。→以後、A社の株主となる。 B社の反対株主は、B社からその株式を公正な価格で買い取ってもらう。 <株式交換> 既存の会社同士AB間で完全親子会社関係を創設、既存会社は消滅しない。 A←ーーー株式交換契約ーーーー→B A社がB社の株式を100%取得 B社の株主はA社から対価としてA株を取得→以後、元々B社の株主だった者はA社の株主となる。A社だけがB社の株主となる。 A(完全親会社) ↓ B(完全子会社) <株式移転> 既存の会社と新設の会社との間で完全親子会社関係を創設 A(既存の会社)・・株式移転計画・・・・・・・・→ B(新設会社) B社がA社の株式を100%取得 A社の株主はB社から対価としてB株を取得→以後、元々のA社の株主はB社の株主となる。 Aの株主はB社のみ B(完全親会社) ↓ A(完全子会社) A社がB社の株式を100%取得 A(完全親会社) ↓ B(完全子会社) <会社分割> 会社の事業の再編 A←ーーーー会社分割契約ーーーーー→B | | | X Y Z (事業) AがBのX事業を承継 A社がB社になんらかの対価を付与(物的分割) A社がB社の株主になんらかの対価を付与(人的分割) 組織再編ではないが、それに類似した行為 →株式交付 → 親子会社関係を創設する行為であるが、完全親子会社関係ではない。 事業譲渡 → 会社分割のような組織再編による包括承継ではなく、取引による特定承継。 合併 合併→複数の会社が合体して法的に一つの会社となる行為で、ある会社は存続し、ある他の会社は消滅するもの。 吸収合併→存続会社Aが合併による消滅会社Bの財産および権利義務を承継するもの 新設合併→消滅会社Aの財産および権利義務を新設会社Bが承継取得するもの→Aが有していた免許をBは再取得しなければならないことが欠点。→ほとんど、利用されない。 株式会社と持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)は合併できるか? →できるが、持分会社が株式会社を吸収合併するとなると、消滅会社である株式会社の株主は、以後、持分会社の社員となってしまう→持分の譲渡は著しく困難→総株主の同意が必要 外国の会社は日本の会社と合併できるか? →外国会社はまず日本子会社を設立し、買収対象会社と合併させる。 外国会社 | | 日本子会社(買収会社)←ーー合併契約ーー→対象会社(Targeted Company) 日本の会社は外国の会社と合併できるか? 合併の目的→企業規模の拡大 相乗効果(シナジー)を生み出し、企業価値の向上 危機的状況にある会社の救済等 合併の手続 (1)合併契約の締結 代表取締役(代表者)同士の合併契約締結(会社748条) 合併契約に定めなければならない事項(会社749条1項各号) ①当事会社の商号・住所 ②存続会社が消滅会社の株主に交付する合併の対価の種類、総数、総額またはその算定方法 ③対価の割当てに関する事項 ④消滅会社が発行している新株予約権の扱い ⑤合併の効力発生日 合併の対価→対価柔軟化→存続会社の株式・社債・新株予約権・新株予約権付社債、その他、存続会社の親会社の株式・社債、金銭、金銭以外の財産 (2)事前の開示 合併承認株主総会の会日の2週間前から(事前の開示)、 ※合併登記から6ヶ月後までの間(事後の開示) →合併条件に関する書類を本店に備え置き→株主および債権者へ開示(会社782条、794条) →合併承認決議、債権者異議手続の参考にさせるため 開示対象(消滅会社の場合) ①合併契約 ②合併対価の相当性に関する事項→合併比率が公正か?どうかの判断 ※発行済株式総数が同数だと仮定する。 Aの純資産はBの2倍 AがBを吸収合併 AがBの株主に付与する対価(A株)の割合はB株に対して、どうか? 純資産 A:B = 2:1 株式の交換比率 A:B = 1:2 → B株2株に対して、AはA株1株を対価として付与すればいい。 ③合併対価について参考となるべき事項→合併対価の譲渡制限の有無、市場の有無等対価の換価性に関する情報、対価が存続会社以外の株式等である場合の対価の権利内容、 ④新株予約権の定めの相当性に関する事項 ⑤計算書類等 ⑥存続会社の債務の履行の見込みに関する事項→消滅会社の債権者にとって重要 ⑦備置開始日後の変更 組織再編2、事業譲渡 前回の復習 組織再編→合併、会社分割、株式交換、株式移転 (代表者間の契約+株主総会の承認) 包括承継 法律上当然に承継→債権者異議手続が必要 事業譲渡(取引) →特定承継 個別的な移転手続が必要 →債権を譲渡する場合→債務者に通知・債務者の承諾(対抗要件) 債務を譲渡する場合→債権者の同意 組織再編手続における事前の開示・事後の開示→主に株主・債権者を救済するため 吸収合併の例(対価としての株式の強制交換における株主の救済) 吸収される会社の株主 →吸収する会社の株式と強制的に交換→交換比率(対価の公正性) 例えば、A社(吸収会社)に株式の1株あたりの価値2 B社(被吸収会社)の株式の1株あたりの価値1 交換比率→A株1株とB株2株と交換 →株式の譲渡自由→譲渡制限株式→株主にとって不利益変更(交換される株式の内容) 吸収する会社の株主→増加する財産に比べ、交付する対価の方が多い→吸収会社の株主にとっての対価の不公正 吸収される会社の債権者→債務者の変更→弁済資力の減→債権者にとって不利益変更 吸収する会社の債権者→吸収によって負債が増える→債権者にとって不利益変更 合併承認株主総会の会日の2週間前から、合併登記から6ヶ月後までの間→合併条件に関する書類を本店に備え置き→株主および債権者へ開示(会社782条、794条)→事前・事後の開示 事前・事後の開示制度の目的 →両当事会社の株主が合併承認決議において賛成するか反対するか、判断するため 債権者が債権者異議手続を行うかどうか、判断するため 開示事項(消滅会社の場合) ①合併契約 ②合併対価の相当性に関する事項→合併比率が公正か?どうかの判断 ③合併対価について参考となるべき事項→合併対価の譲渡制限の有無、市場の有無等対価の換価性に関する情報、対価が存続会社以外の株式等である場合の対価の権利内容、 ④新株予約権の定めの相当性に関する事項 ⑤計算書類等→組織再編比率の計算にとって必要 ⑥存続会社の債務の履行の見込みに関する事項→消滅会社の債権者にとって必要な情報 ⑦備置開始日後の変更 株主総会の承認 当事会社における株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が総会に出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決)が原則 →例外 簡易組織再編(鯨が鰯を飲み込む)→鯨の方では株主総会の承認決議不要 略式組織再編(消滅会社の90%以上の大株主が存続会社である場合→消滅会社での株主総会の承認決議不要) 反対株主の株式買取請求権 会社からの退出の機会 買取価格→公正な価格→組織再編行為に反対した株主にはシナジー公正分配価格を与える必要はない)し(ナカリセば価格でよい)、組織再編行為自体には賛成したが組織再編比率に反対した株主にナカリセバ価格を与えるのは不合理。→反対株主が組織再編に反対した理由に応じてナカリセバ価格とシナジー公正価格のいずれかが与えられるべき。 ※ナカリセバ価格→組織再編公表前の市場価格(株価がシナジーを織り込む前の公正価格) 原則としては、組織再編は両当事会社の株主総会で承認決議(特別決議)を得る必要あり。 <ただし、例外あり> 簡易組織再編と略式組織再編 簡易組織再編→大きな会社が小さな会社を飲み込む(鯨が鰯を飲み込む)規模の小さい会社との組織再編→規模の大きい会社の株主にとって重要な意思決定事項ではない。→規模の大きい会社側の株主総会決議を不要とするもの。 規模の小さい会社が20%以下 略式組織再編→株主総会決議を行っても結果は賛成で変わらないから省略→他の会社の議決権の90%以上を保有している会社を特別支配会社→90%以上保有されている会社では株主総会決議が不要 新株予約権の処理 消滅会社が発行している新株予約権が合併によって存続会社に引き継がれるか? 存続会社が存続会社の新株予約権または金銭を消滅会社の新株予約権者に交付しなければならない。 債権者異議手続 業績の悪い会社と合併→債務が不履行となるおそれ 交付金合併→会社の財産の増加に見合わない金銭の流出のおそれ 債権者が異議の述べた場合→弁済、相当の担保の提供、弁済のための相当の財産の信託 違法な組織再編に対する救済 (事前)差止め→組織再編が法令・定款に違反し、株主が不利益を受けるおそれがあるとき ※合併比率の不公正も差止事由にならない?。 (事後)無効の訴え→法定安定性・取引の安全に配慮すべき→訴えによる方法→提訴権者→株主等(株主・取締役・執行役・監査役・清算人)、破産管財人、合併を承認しなかった債権者(異議を述べた債権者) 提訴期間→効力発生日から6か月間 無効事由→重大な手続違反→①合併契約書が法定の記載事項を欠いている場合、②承認決議に無効・不存在・取消事由がある場合、③債権者異議手続が取られなかった場合、④合併内容の法令違反、⑤独占禁止法違反 ※組織再編比率の不公正は無効原因となるか?→無効原因となると解すべき。 無効判決→対世効、遡及効なし(将来効)。 会社分割 1つの会社を2つ以上の会社に分けること。 分割会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後、承継会社に承継させること(吸収 分割) 分割会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後、新設会社に承継させること(新設分割)。 会社の事業を2以上に分けて複数の会社に行わせる→物的分割→分社型 分社後の会社の資本関係を断つ人的分割→分割型 新設分割→新設分割会社が会社分割によって設立する会社(新設分割設立会社)に権利義務の全部または一部を承継させること。 吸収分割→吸収分割をする会社(吸収分割会社)が既存の他の会社(吸収分割承継会社)に権利義務の全部または一部を承継させることをいう。 吸収分割の場合の対価→柔軟化→株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債、金銭等。 →包括承継が生じる。 手続 新設分割→新設分割計画 吸収分割→吸収分割契約 事前の開示手続→株主総会特別決議→反対株主の株式買取請求・債権者異議手続→効力発生→事後の開示 濫用的な会社分割 財務上危機的な状況にある会社が、優良資産と一部の負債を新設分割設立会社に承継させて事業を継続 分割会社→→→→→→→→優良資産・一部の負債→→→→→新設分割設立会社(新しい箱) 取り残された一部の負債 ↑ ↑ ↑ 残存債権者 その他の債権者ーーーーーーーーーーーーーーーーーー→↑ 偏頗行為 詐害的な会社分割 残存債権者を救済する明文の規定は平成26年会社法改正前にはなかった。 学説上の解釈→法人格否認の法理、民法上の詐害行為取消権 <平成26年会社法改正後> 分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割または吸収分割をした場合→残存債権者は設立会社または承継会社に対し、承継財産の価額を限度として、自己に対する債務の履行を請求することができる。 労働者の異議申出手続 会社←労働契約→労働者 会社分割→労働契約関係も当然承継 労働契約の承継について会社が個々の労働者と協議を行う義務を課している。 「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する契約(会社分割労働承継法)」→労働者の異議申立手続 分割会社は、①承継事業に主として従事する労働者、および、②①以外で承継会社・設立会社が契約(承継事業に主として従事していない労働者)を承継する労働契約の労働者に通知を行う。①のうち、分割契約等で承継会社等が承継する労働契約は、労働者の同意なく設立会社等に移転する。承継の対象とされなかったもの、すなわち、承継事業に主として従事する労働者であるのに、その労働契約が承継会社等に承継されないものについては、当該労働者が異議を申し出れば、承継の対象となる。②の労働契約、すなわち、承継事業に主として従事するのでない労働者であるのに、その労働契約が承継会社等に承継されるものについては、当該労働者が異議を申し出れば、承継の対象から除外される。 ※①承継事業に従事しているにもかかわらず労働契約が承継されないか、 ②承継事業に従事していないにもかかわらず労働契約が承継された。 労働者はこれに異議を述べれば救済される。 事業譲渡 →会社の行なっている事業を一体として他の者に譲渡する行為→株主総会の特別決議 ①事業の全部の譲渡 ②事業の重要な一部の譲渡 →この譲受会社では総会決議不要 ③他の会社の事業の全部の譲受け 非事業譲渡だが、事業譲渡と同じ規制に服せしめる→株主総会の特別決議 ④子会社株式の全部または重要な一部の譲渡 ⑤事業の全部の賃貸・事業の全部の経営の委任、損益共通契約 ⑥事後設立 設立では財産引受けには変態設立事項として定款に記載し、目的財産の価値が公正かどうかについて検査役の調査を受ける。設立後2年以内に取締役が設立時の財産引受けに相当する重要財産の譲受けを行う場合、設立規制の脱法行為であるから、株主総会の特別決議を要する。 事業譲渡者→競業避止義務 株主総会決議が不要となる場合 簡易事業譲渡→総資産の20%以下の資産を譲渡する場合→譲渡会社において株主総会決議は不要 略式事業譲渡→特別支配会社への事業譲渡→特別被支配会社において株主総会決議は不要 事業譲渡の場合→債権者異議手続がない→なぜか? 事業譲渡では組織再編のような包括承継は生じない。 事業譲渡は特定承継なので、譲渡会社の財産を譲受会社に個別に移転する手続が必要 面積的債務の移転→債権者の承諾が必要 ちなみに、債権の譲渡→債務者への通知、債務者の承諾が必要(対抗要件)
- われらの商行為法12 場屋営業、倉庫営業
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの商行為法12(場屋営業、倉庫営業)>ラジオ収録 20210123 場屋営業 場屋営業の定め→商事寄託の定め(商595条~617条) 寄託とは? →当事者の一方があるものを保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じる契約(民657条) ※2017年民法(債権法)改正→要物契約から諾成契約へ変更 民657条→民事寄託(非商人が寄託を受けた場合) 商595条→商事寄託(商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合) 商596条〜598条→商人の中でも場屋営業者が寄託を受けた場合の特則 商595条〜617条→商人の中でも倉庫営業者が寄託を受けた場合の特則 商人が一般に寄託を受ける場合→商事寄託(商法第9章商595条〜617条、第1節→商人が受寄者となった場合→場屋営業者の受寄者としての責任も含む、第2節→倉庫営業) 場屋(じょうおく)営業とは? →客の来集を目的とする場屋(じょうおく)における取引(商502条7号)→営業的商行為の一つ →旅館(旅店・ホテル)、飲食店(食堂・レストラン)、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(場屋営業者) →例示列挙→一般公衆が集まるような施設(物的施設・人的施設)で、 各種のサービスを提供する営業→劇場、映画館(興行施設)、遊技場(娯楽・スポーツ施設) ※理髪店は判例上は、場屋営業ではない(理髪の請負または労務に関する契約があるだけで、設備の利用を目的とする契約は存在しないから。大判昭12・11・26民集16・1681)→学説から批判 場屋営業→場屋には多数の客が来集→その施設に滞留→所持品携帯→滅失・損傷→場屋営業者に重い責任 なぜなのか? 商事寄託における受寄者に共通する注意義務→商595条 民事寄託→有償・無償で注意義務の程度を区別 無償受寄(無報酬で寄託を受けた)の受寄者→「自己の財産に対するものと同一の注意」をもって寄託物を保管する義務(民659条)→民法の特則 有償受寄(報酬を受けて寄託を受けるた)の受寄者→善管注意義務(民400条)→より高度な義務 民400条→特定物の引渡しの場合の注意義務→善管注意義務→民法の一般規定 寄託物・受寄物の返還→特定物の引渡し+有償受寄(民659条との対比から) 商事寄託→有償・無償にかかわらず高度な善管注意義務 →有償、無償にかかわらず、受寄者は→善管注意義務→受寄者である商人の信用力を高め、寄託者を保護するため(商595条) 場屋営業者の責任(商596条〜598条) 寄託契約がある場合 寄託契約がない場合 客から物品の寄託を受けた場合(商596条1項)→寄託契約がある場合の場屋営業者の責任 寄託契約上の責任→契約の債務不履行責任→損害賠償責任(民415条)→過失責任 民事寄託であろうと商事寄託であろうと一般的に受寄者の責任→寄託契約に基づく債務不履行責任(民415条)→債務不履行→債務者の責めに帰することのできる事由によるもの→過失がなければ責任を負わない(過失責任) →しかし、商事寄託の中でも場屋営業者には特則→場屋営業者の受寄者としての責任(寄託物の滅失・損傷)→「不可抗力によるものであったことを証明しなければ損害賠償の責任を免れることができない」→過失がなかったこと(無過失)に加え、不可抗力によるものであったことまで立証しなければならない(商596条1項)。→無過失責任!? →場屋営業者の重い責任(責任の加重) 場屋営業主の責任はなぜこのように重いのか? →旅店主や運送人が盗賊と結託して、客から預かった荷物を奪うことが多かったローマ時代において、 受領という事実だけで厳格な結果責任を課していたローマ法上のレセプツム(receptum)責任に由来 寄託を受けたかどうかが争われた裁判例 ホテルの敷地内で自動車を移動させるために自動車の鍵をホテルの従業員に預けた場合→寄託あり(大阪後高判平成12・9・28判時1746・139) ゴルフ場のクラブハウス内の貴重品コインロッカーに財布を預けたが盗取された場合→寄託なし(秋田地裁平17・4・14判時1936・167) 不可抗力の定義 →一般に、当該事業の外部から生じた出来事で、事業者が通常必要と認められる予防を尽くしても防止することができない危害 主観説→事業の性質に従い、最大の注意をもってしても避けられない場合→無過失責任に近く、厳しすぎ 客観説→特定事業の外部から発生した出来事で、通常その発生を予測できないもの→過失責任だが厳しすぎ 折衷説(通説・裁判例)→特定事業の外部から生じた出来事であって、かつ、通常必要と認められる予防を尽くしてもその発生を防止できないもの 客から物品の寄託を受けない場合→寄託契約がない 客がとくに寄託しない物品→寄託契約がない→場屋の中に携帯した物品→場屋営業者が注意を怠ったこと(善管注意義務違反=過失)によって滅失・損傷したとき→場屋営業者は損害賠償責任を負う(商596条2項)→過失責任→場屋営業者の過失の立証責任は客側にあり。 免責の一方的表示 →例えば、張り紙「お客様の携行品が万一盗難、紛失、損傷したとしても、当方は一切、責任を負いかねます。」 客の携行品については責任を負わない旨の一方的表示→一方的表示には意味がない→場屋営業者は商596条2項の責任を免れない(商596条3項)→一般公衆を保護するための強行規定 ただし、商法596条1項・2項は任意規定→当事者間の別段の合意があればそれを優先→場屋営業者の責任を免除または制限する特約(約款)はありうる。 高価品の特則 貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類および価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失・損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。(商597条) 問題は、高価品である旨の通知はなかったものの、場屋営業者またはその使用人がそれを知っていたか、または故意に損害を与えた場合でも、この高価品の特則は適用されるのか?→免責されない! →商法577条2項(一定の場合における高価品の特則の適用を排除する規定)と同様に解することができるのではないか?→類推解釈 →不法行為による法律構成もあり得る判例あり(大判昭17・6・20新聞4787・13) 責任の短期消滅時効 場屋営業者が悪意でない限り、寄託物を返還し、または客が場屋の中での携帯品を持ち去った時から1年 倉庫営業 倉庫営業者→他人のために物品を倉庫に保管することを業とする者(商599条) 倉庫営業→寄託の引受け(商502条10条)→営業的商行為 倉庫営業についての業法的規制→倉庫業法 倉庫業法上の定義 倉庫→物品の滅失もしくは損傷を防止するための工作物または物品の滅失もしくは損傷を防止するための工作を施した土地もしくは水面であって、物品の保管の用に供するもの 倉庫業→寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業(B2B) トランクルーム→その全部または一部を寄託を引き受けた、消費者の物品の保管の用に供する倉庫(B2C) 倉庫営業者の登録→国土交通大臣の登録 倉庫寄託契約→諾成契約(平成29年改正前民法では要物契約。要物契約から諾成契約へ) 民657条→寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生ずる。 倉庫寄託約款→倉庫営業者は倉庫寄託約款を定め、その実施前・変更時に国土交通大臣の届け出なければならない。国土交通大臣は、倉庫寄託約款が寄託者または倉庫証券の所持人の正当な利益を害するおそれがあると認めるときは、当該倉庫営業者に対し、期限を定めてその倉庫寄託約款を変更すべきことを命ずることができる。 寄託者←倉庫寄託契約→倉庫営業者 倉庫営業者の義務 目的物保管義務 善管注意義務(民659条、商595条)→商人が営業の範囲内で寄託を受けた場合→無報酬であっても善管注意義務 倉庫業法上の付保義務(一定の場合の火災保険) 再委託・保管場所の変更→寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用できないし(民658条1項)、その承諾を得たか、やむを得ない事由があるとき以外は再寄託もできない(同条2項)。また、正当な事由がなければ保管場所の変更もできない(民664条ただし書) 通知義務→寄託物につき権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、または差押え、仮差押えもしくは仮処分をしてきた場合、原則として倉庫業者は遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない(民660条1項本文)。 倉荷証券の交付義務→倉庫営業者は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない(商600条)。 帳簿記載義務→倉庫営業者は倉荷証券を寄託者に交付したときは、その帳簿に所定の事項を記載しなければなならない(商602条)。 寄託物の点検・見本摘出義務→寄託者または倉庫証券の所持人は、倉庫営業者の営業時間内は、いつでも寄託物の点検もしくはその見本の提供を求め、またはその保存に必要な処分をできることから(商609条)、倉庫営業者にはこれに応じる義務がある。 目的物の保管期間および返還義務 (1)保管期間の定めがある場合→受寄者(倉庫業者)は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない(民663条2項)。→標準倉庫寄託約款(甲)→受寄物の保管期間は3か月。 (2)保管期間の定めがない場合→倉庫営業者は、やむを得ない事由があるときを除き、寄託物の入庫日から6か月を経過した後でなければその返還をすることができない(商612)。民法の場合、受寄者はいつでも目的物を返還できる663条1項)。 (3)返還の場所→原則はその保管をすべき場所で。しかし、倉庫営業者が正当な事由によりその物を保管する場所を変更したとき→現在の場所で(民664条) (4)返還の相手方 倉荷証券が作成された場合→倉荷証券所持人に対して 倉荷証券が作成されていない場合→原則として寄託者に対して(民660条2項本文)。ただし、目的物を第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決があったときは、当該第三者に対して(同条2項ただし書)。 倉庫営業者の責任 倉庫営業者は寄託物の保管に関し、注意を怠らなかったことを証明しなければ、その滅失または損傷につき損害賠償の責任を免れることができない(商610条) 倉庫営業者の責任=過失責任 注意を怠らなかったことを証明→過失推定責任 標準倉庫寄託約款(甲)→故意・重過失(軽過失免除)、立証責任は寄託者等の請求者に転換 内容不知約款(免責約款)→目的物の内容・個数・重量・数量等が正確か否かについて倉庫営業者が不知である場合、一切の責任を負わない旨の約款 判例(最判昭44・4・15民集23・4・755)→内容を検査することが容易でなく、または荷造りを解いて内容を検査することによりその品質または価格に影響を及ぼすことが、一般取引の通念に照らして、明らかな場合に限って有効。 倉庫営業者の責任の消滅事由→寄託者または倉荷証券の所持人が異議をとどめないで寄託物を受け取り、かつ、保管料等を支払ったときに倉庫営業者の責任は消滅(商616条)。 倉庫営業者の責任にかかる債権の消滅時効→寄託物の出庫日から1年。 倉庫営業者の権利 保管料支払請求権(商512条) 費用償還請求権(民665条、650条) 民650条 受任者による費用等の償還請求権 目的物の供託および競売権→寄託者または倉荷証券の所持人が寄託物の受領を拒み、またはこれを受領することができない場合、目的物の供託、相当の期間を定めて催告した後に競売(商615条、524条1項・2項) 倉荷証券 目的物返還請求権を表章した有価証券 寄託者→請求→倉庫営業者 | ←倉荷証券 ↑ 受寄物の処分 ↑ ↓ ↑ 倉荷証券 ↑ 所持人ーーーーーー| 性質→要式性、法律上当然の指図証券性、受戻証券性、要因証券性、処分証券性 倉荷証券の債権的効力→倉庫営業者は倉荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない(文言証券性)(商604条)→倉荷証券の債権的効力→証券上に記載されている文言(もんごん)どおりの効果が発生する。 倉荷証券には相矛盾する要因証券性と文言証券性が並存しているため、その調和を図ることが重要 品違い(倉庫営業者が受け取った目的物と倉荷証券上の記載が異なっている場合)→判例は、文言証券性を重視→証券に記載されている目的物を返還できない→債務不履行責任 空券(実際には目的物を受け取っていないにもかかわらず、倉荷証券が発行されている場合) →判例は、契約もないかもしれないし、あったとしても目的物を受け取っていないかもしれない→要因性を重視し、証券を無効とする。 倉荷証券の物権的効力 寄託物の処分→倉荷証券が作成された場合→倉荷証券によってしなければならない。(商605条) 倉荷証券を引渡したとき→その引渡し→寄託物について行使する権利の取得に関しては、寄託物の引渡しと同一の効力を有する(商607条)→つまり、倉荷証券を引渡したことは、寄託物を引渡したことと同じ効力。
- われらの商行为法11 運送営業
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの商行為法11(運送営業)> ラジオ収録 20210116 運送営業 運送とは→物品または旅客を場所的に移動させること(距離の差の克服) 商法→社会において必需的な運送の重要性を考慮し、運送契約当事者間(荷送人と運送人)の利益を調整することが目的 運送契約=請負契約 物品運送と旅客運送 物流(ロジスティックス)関係法→運送営業、運送取扱営業、倉庫営業 運送人の定義→陸上運送、海上運送または航空運送の引受けをすること業とする者(商569条1号) →実際の運送を第三者(下請運送人)に委託する者も運送人に含まれる。 運送人=自己の名で、運送に関する行為(営業的商行為・商502条4号)を業として行う者=商人 陸上運送→陸上における物品または旅客の運送(商569条2号) 商法第2編第8章の運送営業→陸上運送(物品運送・旅客運送) 陸上→地理上の陸上および地中 旅客→自然人 海上運送→商684条に規定する船舶による物品または旅客の運送(商569条3号) 船舶→①商行為をする目的で航海の用に供する船舶→航海船・商船 ②商行為をする目的でもっぱら湖川、港湾その他の海以外の水域において航行の用に供する船舶(非航海船) →それ以外の船舶には陸上運送に関する法令が適用(ただし、端舟、櫓櫂をもってする舟を除く) 海上物品運送で船積港または陸揚港が日本国外にあるもの→国際海上物品運送法が適用 いずれも日本国内の場合→海商法が適用 航空運送→航空法2条1項に規定する航空機による物品または旅客の運送(商569条4号) 航空機→人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼飛行機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器 →適用法→航空法、1929年ワルソー条約、1955年ハーグ改正ワルソー条約、1999年モントリオール条約→航空運送約款 物品運送 物品運送契約の意義→運送人が荷送人からある物品を受け取り、これを運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷送人がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(商570条) 荷送人←物品運送契約→運送人→荷受人 (または、船荷証券の所持人等) 物品運送契約の性質 運送の委託(申込み)→承諾→諾成契約 有償契約 請負契約(民632条) 運送契約当事者の権利・義務 荷送人の義務 送り状の交付義務(商571条1項)→運送人の請求により所定の事項(運送品の種類、運送品の容積・重量・包み、個品の数、運送品の記号、荷造りの種類、荷送人および荷受人の氏名または名称、発送地、到達地)を記載した書面 危険物に関する通知義務→荷送人は、運送品が引火性、爆発性その他の危険性を有するものであるときは、その引渡しの前に、運送人に対し、その旨および当該運送品の品名、性質その他の当該運送品の安全な運送に必要な情報を通知しなければならない(商572条) 通知義務違反の効果→荷送人の運送人に対する損害賠償責任(過失責任) 運送人の権利 運送という仕事を完成したとき、報酬(運送賃等)請求権(商512条) →特約があれば、前払請求も可。 →運送品が不可抗力によって滅失・損傷したとき→運送人は運送賃を請求することができない。 →不可抗力→当事者双方の責めに帰することができない事由で、一般に、当該事業の外部から生じた出来事で、事業者が通常必要と認められる予防方法を尽くしても防止できない危害 →運送品がその性質もしくは瑕疵または荷送人の過失によって滅失・損傷したとき→運送人は運送賃の全額を請求することができる。 立替費用請求権→保険料、倉庫保管料、包装費等 留置権→運送人は運送品に関して受け取るべき運送賃、付随の費用および立替金についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる(商574条)→留置物と被担保債権との間に個別的牽連関係が必要 運輸の先取特権→旅客または荷物の運送賃および付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について(民318条) 運送人の損害賠償責任 民法上→運送という債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるとき→債務不履行→運送人(債務者)は荷送人等(債権者)に対して損害賠償を負う(民415条) ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。←過失責任 商法上→運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し、もしくは損傷し、もしくはその滅失もしくは損傷の原因が生じ、または運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管および引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない(運送契約上の債務不履行責任=商575条)←過失責任 民法と商法の損害賠償責任規定はほぼ同様、商法は単に民法を明確化したにすぎない。 運送人は、運送人の受取りから引渡しまでの間にその運送品が滅失もしくは損傷し、もしくはその滅失もしくは損傷の原因が生じ、または運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(商575条本文) ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管および引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、損害賠償の責任を免れる(商575条ただし書)→過失推定責任 商法の特則 損害賠償の額→通常損害に限られ、しかも、損害賠償額が定型化(民416条は通常損害・特別損害) ①運送品の滅失・損傷の場合→大量の運送品を扱う運送営業の性質から、特別の事情によって生じた損害は除外(民416条2項の不適用)、通常損害に対しての場合における損害賠償額は、その引渡しがされるべき地および時における運送品の市場価格によって定めることとし、市場価格がないときは、その引渡しがされるべき地および時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める(商576条1項ただし書)。 民法上の債務不履行に基づく損害賠償責任における損害の範囲は広い →民416条→①通常損害、②予見可能な特別損害 しかし、商法の場合、 運送品の滅失・損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は損害賠償の額から控除(商576条2項)。 →損害賠償額の定型化→運送人の故意または重大な過失によって運送品の滅失または損傷が生じたときは適用しない(商576条3項)。→業界保護のため、ある程度、運送人が過大な責任を負うことのないよう商法は配慮しているが、故意・重過失ある運送人まで保護する必要はない。 ②運送品の延着の場合→民法の一般原則に従って責任を負う(民416条→通常損害・予見可能な特別損害)→すべての損害を賠償する責任を負う。 高価品の特則 貨幣、有価証券、その他の高価品→荷送人がその種類および価額を通知した場合を除き、運送人はその滅失、損傷または延着によって生じた損害を賠償する責任を負わない(商577条)。 通知がない場合→運送人は免責(運送契約上の特則)→なぜか?→運送人は予期せず、過大な責任を負ってしまいかねないから。 →もし通知があれば、運送人は、①より慎重に運送したであろうし、②場合によっては、運送の引受けを拒むこともできたであろうし、③そのようにリスクを伴う運送とわかっていれば、運送賃を引き上げたであろうし、また、④保険にも付保したであろうから。→だから、免責されて当然。 ただし、運送人の不法行為責任は別か?(高価品の特則はあくまでも運送契約上の責任規定の特則だから) 高価品の通知はないものの、運送人の使用人が高価品と知ってそれを盗取した場合→不法行為責任(民709条)および使用者責任(民715条)は適用可能。←請求権競合説 ※法条競合説は少数説 平成30(2018)年の商法改正(商法制定以来120年ぶりの初めての運送法関係の大改正) →商法の運送人の責任を減免する規定(損害賠償額の定型化、高価品の特則、責任の消滅に関する規定)→原則として、運送人に対する不法行為責任の請求にも適用(商587条本文) 高価品→容積・重量の割に著しく高価な物品→小さくて軽いのにたいへん高価→ダイヤモンド 運送人の責任の特別消滅事由(商584条) 荷受人が運送品の損傷、一部滅失について異議をとどめずに運送品を受け取ったとき →運送人の責任は消滅(商584条1項本文) →ただし、直ちに発見することができない損傷、一部滅失について→引渡しの日から2週間以内に通知しなければならず、通知がなければ運送人の責任は消滅(同項ただし書)→もちろん、運送人が悪意でない限り(商584条2項)。 なぜか?→大量の運送品を低廉な運賃で反復して取り扱う運送人にとっては、運送品の状態に関する証拠を長期にわたって保全することは困難だから、荷受人に速やかに異議を述べることを求め、運送人に調査の便を与えるため。 責任の消滅(除斥期間) 引渡しがされた日(全部滅失の場合は引渡しがされるべき日)から1年以内に裁判上の請求がされないとき→消滅(商585条1項) 荷受人の法的地位(権利・義務) 荷受人→運送契約の当事者ではない。しかし→運送品が到達地に到達した場合、または運送品の全部が滅失した場合→物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する(商581条1項)。 →運送品を受け取ったとき、荷送人によりまだ運送賃等が支払われていない場合→運送人に対して運送賃等を支払う義務を負う(商581条3項)。→荷送人の義務と荷受人の義務との関係→不真正連帯債務 複合運送 →陸上運送、海上運送、航空運送のうち、2以上の運送を1つの運送契約で引き受ける場合 <コンテナの普及による> 相次運送 →1個の運送について複数の運送企業が運送の実行に関与する場合 ①下請運送 ②部分運送 ③同一運送 ④連帯運送 旅客運送 旅客運送契約→運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによってその効力を生ずる(商589条) 旅客運送人の損害賠償責任→運送人が運送に関して注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う(商590条) 損害賠償の範囲→民416条 ただし、旅客運送約款の特約で損害賠償責任の減免を定めることができる。 しかし、旅客の生命または身体の侵害による運送人の損害賠償責任を減免する特約は無効(商591条1項)。 旅客の手荷物に関する運送人の責任 (1)引渡しを受けた手荷物の滅失・損傷→物品運送契約における運送人と同一の責任を負う(商592条1項)→過失推定責任(運送人側に無過失の立証責任があり)<例えば、飛行機の貨物室> (2)引渡しを受けていない手荷物(携行品)の滅失・損傷→運送人は故意・過失がある場合を除き、運送人は免責(過失責任)→この場合の立証責任は、旅客側にあり。<例えば、飛行機の客室に携行>
- われらの商行为法10 匿名組合・仲立人・問屋
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの商行為法10(匿名組合・仲立人・問屋)> ラジオ収録 20201213 講師 楠元純一郎(法学者) 録音師 レオー(美術家) ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) jialin(大学院博士課程) <匿名組合(とくめいくみあい)> 実務ではTK(ティーケイ)と呼ばれることが多い。 SPCで用いられることも多い 出資を受けてビルを一棟買う→営業者が入居者を募集→賃貸料の一部を出資者に分配する仕組み(スキーム) 商535条→当事者の一方(匿名組合員)が相手方(営業者)の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって効力を生ずる契約。 匿名組合契約→諾成・有償・双務契約 組合→複数人が組合を構成 民法上の組合→各組合員に業務執行権、法人格なし 商法上の組合→匿名組合→営業者に業務執行権、法人格なし 営業に関する権利義務→すべて営業者に帰属し、匿名組合員には帰属しない。 (出資財産は営業者に帰属) 匿名組合員 →出資→ 営業者 ←商行為(営業)→ 取引の相手方 ←配当← (有限責任) (無限責任) 出資額以上、責任なし 営業上負った債務につき ※ 匿名組合には法人格がなく、それがあれば、合資会社に類似。 会社法上の会社→合名会社、合資会社、合同会社、株式会社 合資会社(会社)は法人であるが、匿名組合は非法人 合資会社の社員の責任→有限責任社員、無限責任社員 匿名組合の匿名組合員は有限責任で、営業に関する権利・義務は無限責任を負う営業者にある。 民法上の組合は、組合員全員が無限責任で、かつ営業に関する権利義務も組合員全員にある。 匿名組合員の権利義務 出資義務 出資→金銭その他の財産→金銭、現物(動産・不動産・有価証券・無体財産権) 信用・労務出資 営業請求権 匿名組合契約に従って、営業者に営業を営むことを請求→営業がなされなければ→匿名組合員は利益の分配を受けることができない。営業者が営業をしてくれなければ、匿名組合員は出資をした意味がない。 損失填補義務(配当金を受け取る場合) 出資が損失によって減少したとき→その損失を填補した後でなければ、利益の配当を請求することができない(商538条)。→匿名組合員は損失を分担する→出資がプラスになるまでは、配当を受けることができない。 「損失」→営業年度における営業による財産の減少額 「填補」→出資額から分担損失額を減じること 利益分配請求権 匿名組合員が営業者に対して、その営業から生じる利益を分配するよう請求できる。 匿名組合員が複数いる場合→分配についての別段の定めがなければ→各匿名組合員の出資割合に応じて 損失填補義務 損失を補填しなければ配当を分配できない→配当を受けるには損失を填補しなければならない。 貸借対照表の閲覧等ならびに業務および財産状況に関する調査権(営業検査権) 重要な事由がある場合→匿名組合員は裁判所の許可を得て→営業者の検査 出資価額返還請求権 匿名組合契約を終了→匿名組合員は営業者から出資を返還してもらう。 営業者の権利義務 出資請求権 業務執行義務 善管注意義務 営業者は匿名組合員から委任または準委任を受けたい受任者 匿名組合契約の終了 存続期間を定めた場合の期間満了 契約の一般的な終了原因 存続期間を定めなかった場合 →契約解除→6ヶ月前の予告→営業年度の終了時に契約の解除(商540条1項) ただし、やむを得ない事由があるときは当事者はいつでも契約の解除ができる(商540条2項)。 その他の終了原因 →匿名組合の目的である事業の成功または成功の不能 営業者の死亡、 後見開始の審判を受けたこと、 営業者または匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと 営業者→出資の価値の返還→匿名組合員 もし、出資が損失によって減少していたら?→残額を返還すれば足りる(商542 条) 仲立人 <仲立人>=商事仲立人(商行為法上の仲立人) 仲立人とは →他人間の商行為(他人間で商行為がなされる→他人のうちのいずれか一方にとって商行為であること=B2C,B2B)の媒介(他人間の法律行為の成立に向けて尽力する事実行為=仲立に関する行為→営業的商行為)をすることを業とする者(商543条) 仲立に関する行為→営業的商行為(商502条11号) 自己の名で商行為を業としてなす者→固有の商人(商4条2項) 商事仲立人は商人である(◯) 民事仲立人は商人である(◯)なぜ?→仲立に関する行為は営業的商行為であるし、それを自己の名で反復継続すれば商人であるから。 民事仲立人には商行為法543条以下の規定が適用される(×) 媒介(ばいかい)→他人間の法律行為の成立に向けて尽力(斡旋・仲介・勧誘)する事実行為 法律行為(AかBのいずれかにとって商行為) 他人A←ーーーーーーーーーーー→他人B ↑ |(媒介)=事実行為=商行為 | →他人間を引き合わせる、見本の提示→契約 仲立人C 媒介をする者 媒介代理商→特定の商人のために媒介をする独立の商人 ※代理商(締約代理商・媒介代理商)→特定商人のために不特定多数の相手方(顧客)を紹介 仲立人 →不特定多数の他人のために媒介する独立の商人 仲立人の例 旅行業者 宅地建物取引業者(宅建業者)→宅地・建物の売買や賃貸等の取引を媒介する者(商事仲立人・民事仲立人) 海運仲立業者→海上物品運送契約等の締結を媒介する者 金融商品仲介業者 外国為替ブローカー 結婚紹介業者(民事仲立人) 「他人間の商行為」→他人のうち、いずれか一方にとって商行為 B2B B2C 他人(商人)←ーーーー法律行為ーーー→他人(商人または非商人) ↑ |(媒介) | 仲立人(商事仲立人)(商人) C2C 他人(非商人)←ーー不動産の売買・賃貸契約ーー→他人(非商人) ↑ |(媒介) | 宅建業者(民事仲立人)(商人) C2C 非商人←ーーー結婚ーーー→非商人 ↑ |(媒介) | 結婚紹介業者(民事仲立人)(商人) 「媒介をする」→仲介、斡旋、勧誘等の事実行為 「業とする」→他人間の仲立を引き受けること(営業的商行為)を反復継続して行う。 仲立契約の法的性質→事実行為の委託→準委任契約(民656条)←委任契約の規定が準用 <仲立人の義務> 善管注意義務 他人←ーーー準委任契約ーーー→仲立人 (仲立契約) (委任(委託)者) (受任(受託)者) ←ーーーーーーー善管注意義務(民644条)(一般的な義務) 当事者のために給付を受けることの制限 第五百四十四条 仲立人は、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができない。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。 見本保管義務(商545条) (見本保管義務) 第五百四十五条 仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければならない。 媒介の際に示された見本とは異なる商品が引き渡されたなど、後々、当事者間で紛争が生じた場合に備え、仲立人に証拠を保全させる趣旨。 結約書の交付義務(商546条1項) (結約書の交付義務等) 第五百四十六条 当事者間において媒介に係る行為が成立したときは、仲立人は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面(以下この章において「結約書」という。)を作成し、かつ、署名し、又は記名押印した後、これを各当事者に交付しなければならない。一 各当事者の氏名又は名称 二 当該行為の年月日及びその要領 当事者間の後日の紛争を予防し、証拠を保存させる趣旨。 帳簿記載義務(商547条) (帳簿記載義務等) 第五百四十七条 仲立人は、その帳簿に前条第一項各号に掲げる事項を記載しなければならない。 2 当事者は、いつでも、仲立人がその媒介により当該当事者のために成立させた行為について、前項の帳簿の謄本の交付を請求することができる。 仲立人の媒介によって他人間で成立した契約について証拠を保全させる趣旨。 当事者の氏名等の黙秘義務(商548条) (当事者の氏名等を相手方に示さない場合) 第五百四十八条 当事者がその氏名又は名称を相手方に示してはならない旨を仲立人に命じたときは、仲立人は、結約書及び前条第二項の謄本に(原本はOK)その氏名又は名称を記載することができない。 当事者にとって相手方にその氏名・名称を知らせない方が交渉上有利な場合があるから。 介入義務(商549条) 第五百四十九条 仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負う。 仲立人が黙秘義務を負っている場合において、当事者の一方が契約の履行をしない場合、仲立人自らが履行の責任を負うことによって、相手方の信頼を保護する趣旨 <仲立人の権利> 報酬請求権 (報酬請求権) 第五百十二条 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。 仲立人の受ける相当な報酬=仲立料 仲立人が報酬を受ける特別の要件 (仲立人の報酬)第五百五十条 仲立人は、第五百四十六条の手続(仲立に成功→成約(仲立の成功)→結約書の作成・交付)を終了した後でなければ、報酬を請求することができない。 契約の成立、効力の発生、結約書の作成・交付が終了してはじめて、報酬を請求できる→成功報酬 2 仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する。 委託者でない相手方に対しても、公平に利益を図るべきであり、媒介の利益が委託者でない相手方に対しても及んでいるから。 民事仲立人は、商事仲立人ではないため、商法550条が適用されない。 民事仲立人は、商人ではあることには変わりがないため、商512条(一般的な報酬請求権)は適用を受ける。 →民事仲立人は、委託を受けていない相手方に対して報酬(商512条)を請求できるか? 判例(最判昭44・6・26民集23・7・12649 非商人間の媒介をする民事仲立人である宅地建物取引業者が相手方である売主との間で委託または事務管理を行なう旨の明示または黙示の仲介契約の成立を肯定すべき事実関係を認められない限りは、委託者(買主)ではない売主に対して商512条を根拠に報酬を請求できない。 →委託者でない者に対しては、民事仲立人は報酬を請求できない。 問屋(といや) →問屋(とんや)のことではない。問屋(とんや)は卸売業者のこと。 問屋とは→「自己の名をもって他人のために物品の販売または買入れをすることを業とする者」(商551条) 「他人のために物品の販売または買入れをすること」→取次ぎ→営業的商行為(商502条11号) 問屋→固有の商人(商4条1項) ここでいう物品→有価証券も含む(最判昭32・5・30民集11・5・854) 金融商品取引業者(証券会社)、商品先物取引業者は問屋の典型 「自己の名をもって」→自己の名義で→自己に法律効果が帰属 「他人のために」→他人の計算で→問屋の委託者の損益で→他人である委託者に経済効果が帰属 準問屋→自己の名をもって他人のために「販売または買入れ以外の行為」をすることを業とする者(商558条) 委託者(他人)(経済効果) ↑ (問屋契約 ) | ↓ 問屋←ーー売買(販売または買入れ)ーー→第三者 (法律行為) (法律効果) 問屋の内部関係(問屋の委託者に対する義務) 委任契約(民643条)(商552条2項) → 法律行為の委託→委任 ※実は準用ではなく適用 代理に関する規定の準用(商552条2項)→ 問屋の行為(取次ぎ)→代理とは似て非なるもの 問屋はエル(L)字 委託者(他人)(経済効果) ↑ (問屋契約 ) 委任| ↓ 問屋←ーー売買(販売または買入れ)ーー→第三者 代理は三角形 (法律行為) 本人 (法律効果) ↑ ↖︎ | ↖️(法律効果) 委任| ↘︎ ↓ ↘︎ 代理人←ーーーー→相手方(第三者) (法律行為) 問題点 問屋が買い入れた物品の所有権は委託者ではなく問屋に帰属すること →問屋が破産した場合、問屋が買い入れた物品は破産財団を構成し、問屋の一般債権者のための責任財産を構成? しかし、委託者には取戻権がある(破62条) 判例(最判昭43・7・11民集22・7・1313) →問屋の「権利は委託者の計算において取得されたもので、これにつき実質的利益を有する者は委託者であり、かつ、問屋はその性質上、自己の名においてではあるが、他人のために物品の販売または買入をなすを業とするものであることにかんがみれば、問屋の債権者は問屋が委託者の実行としてした売買により取得した権利についてまでも自己の債権の一般的担保として期待すべきではないといわなければならない。」 問屋の委託者に対する善管注意義務→具体化→説明義務 問屋の委託者に対する通知義務→取引の代理または媒介をしたときは、遅滞なく、委託者に対して、その旨の通知を発しなければならない(商557条・27条) 問屋の指値遵守義務→問屋は委託者の指示に従うことを要し、委託者が販売価格・買入価格を指定した場合には、その指示(指値)に従わねばならない。 問屋が指値より低い価格で販売をし、または高い価格で買入れをした場合において、自らその差額を負担するときは、その晩倍または買入れは、委託者に対してその効力を生ずる(商554条) 問屋の履行担保責任→問屋は委託者のためにした販売または買入れにつき相手方がその債務を履行しないときに、別段の意思表示または別段の慣習がない限り、自らその履行をする責任を負う(商553条) 顧客(委託者) ↑ | ↓ある株式の買い注文 ↓ 証券会社A(問屋)←ーーーーーーーー株式の買入れーーーーーーーーー→証券会社B (ブローカリング=取次業務) (履行担保責任) (債務不履行=株式を引き渡さない) (Bに代わってAが履行をする) (Aは別の証券会社から株式を買ってきて顧客に渡す) | | ↓ 自己売買(ディーリング) 証券会社の業務 ①ブローカリング業務(株式の売買の取次ぎ)→手数料ビジネス→株式の売買の損益に関するリスクはない。この場合の証券会社は胴元。 ②ディーリング業務(自己売買=自己資金で株式を売買)※ブラックジャック→トランプを配る人はディーラーであり、カジノのお金(自己資金)で自己責任で客と勝負している。 ③アンダーライティング業務(株式・社債の引受け→証券会社の営業部隊が時間をかけて分売) 問屋の内部関係(問屋の委託者に対する権利) 報酬請求権 → もともと委任契約は民法上、原則として無償(民648条1項) しかし、問屋は商人→商人が営業の範囲内で他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる(商512条) 報酬請求権→委託売買手数料 費用償還請求権(費用を立て替えた場合の権利)(民650条、商513条2項) 留置権(委託者に対する)→委託者が手数料や立て替え費用を払ってくれない場合、その弁済がなされるまで、証券会社は預かった証券を引き渡さないことができる(商557条、31条) 被担保債権→報酬請求権、費用償還請求権、利息請求権 弁済期が到来していること 委託者のために問屋が占有する物品または有価証券を留置できる。 ※商人間の留置権(商行為により債権者の占有に帰したものに限る。債務者の所有する物または有価証券であることを要する。)に関する規定は準用しない。 →問屋の留置権(商行為により問屋の占有に帰したことを要しない。委託者のために問屋の占有する物または有価証券に限らない。)←代理商の留置権を準用 問屋の顧客は商人とは限らないから。 介入権→問屋が顧客の注文(取次の委託)を受けたときは、自ら買主または売主となることができる(商555条)→この場合でも、問屋は手数料を請求することができる。 供託権・競売権 問屋が買入れの委託を受けた場合において、委託者が買い入れた物品の受領を拒み、またはこれを受領することができないとき→問屋は、供託・競売をすることができる(商556条) 問屋の外部関係 第三者(相手方は委託者に対し、直接義務の履行を請求できないし、委託者に対する抗弁をもって、問屋に対抗することもできない。→問屋の外部関係において、委託者と第三者は関係を有しない。
- われらの法学入門25 国家赔偿法 外国人和财产权
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの法学入門25(国家賠償法、外国人と財産権)>ラジオ収録20210116 講師 楠元純一郎(法学者) 録音師 レオー(美術家) ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) jialin(大学院博士課程) 国家賠償法 憲17条 「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国または公共団体に、その賠償を求めることができる。」 ↓ 国家賠償法(国賠法)→公権力の行使に関する賠償責任 要件 ①公権力の行使であること ②公務員であること ③その職務を行うについて ④故意または過失によって ⑤違法に ⑥損害を加えたこと 国家→損害賠償→被害者 ↓ 求償 ↓ 公務員 公権力の行使→①命令・強制 ②一方的に権利義務の変動(権利の発生・変更・消滅)をさせる権力作用 ③非権力的作用(行政指導・学校での教育活動) ④立法権・司法権の作用→国家賠償責任はほとんどなし 公権力の行使でない場合→民法上の不法行為責任 違法性 民法上の不法行為(民709条) →「他人の権利または法律上保護される利益を侵害」→権利侵害それ自体が違法 ※国賠の場合→課税処分それ自体が権利侵害→「違法性」 違法とは何か? 従来説→客観的法規範違反 近時の判例→根拠法令違反があってもただちに国賠法上の違反を意味するものではなく、 公務員が行為時に「通常尽くすべき注意義務」を尽くさなかった場合に限って、 国賠法上の「違法」となる。→職務義務違反説 ※注意義務違反=過失=違法 外国人と財産権 外国人→日本国籍を有しない者(外国国籍者・無国籍者)(国籍法2条、4条) 民法2条→「外国人は法令または条約に禁止ある場合を除く外、私権を享有する」 →権利能力平等の原則 しかし、権利能力の範囲→法令によって制限しうる。 特別法・政令→①外国人の私権取得の制限 ②職業選択の自由の制限を通じた私法上の地位の制限、財産権の制限 私権を制限する立法 ①不動産権保有制限→現在なし ②鉱業権・租鉱権の取得制限←資源保護の観点 ③日本船舶・日本航空機の所有権の取得制限←国防上の観点 ④年金恩給受領資格制限→ただし、共済・厚生年金制度は国籍による差別なし ⑤公証人就任資格制限 ⑥水先案内人になる資格の制限 ⑦無線通信事業者
- われらの法学入門24 选举 地方自治 宪法修正 和平主义
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの法学入門24(選挙・地方自治・憲法改正・平和主義)>ラジオ収録20201213 講師 楠元純一郎(法学者) 録音師 レオー(美術家) ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) jialin(大学院博士課程) 選挙に関する問題 第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。→選挙権 ② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 ③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 ④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。 憲法15条→基本的人権→参政権 選挙権 満18才以上、一人一票。→会社法なら、資本多数決の原則 選挙の原則 普通選挙→納税額の多寡、財産の有無と無関係 →第十四条(法の下の平等→基本的人権) すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 →第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 秘密選挙→誰が誰に投票したかについて秘密を侵してはならない。 自由選挙→棄権しても、罰金、氏名公表なし。 直接選挙→選挙人が直接議員等の公務員を選挙 平等選挙→一人一票 平等選挙と一票の価値 議員定数不均衡問題 投票価値=各選挙人の投票の有する影響力→平等 議員定数 A 人口10万人あたり1議員 1 B 人口5万人あたり1議員 2 議員数と人口数の比 1:2 ←議員定数の不平等 最高裁判例 投票価値の平等性を重要と認めつつ、選挙区割りを決めるに際しては人口比以外の様々な要素を考慮する必要があるとし、国会においてそうした要素を斟酌してもなお、「一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度」の格差に達しているか否か、それが「憲法上要求される合理的期間内に是正がなされなかったもの」と言えるか否か、を検討して格差の合憲性を判断。 2017年衆議院選挙 1.98合憲判決 2019年参議院選挙 3.00合憲判決 斟酌(しんしゃく)←意を汲み取る(考慮する、配慮する) 地方自治 明治憲法下 官治主義→国の官吏を地方に派遣 地方公共団体の長→独自の権限なし→機関委任事務 現行憲法下 地方自治の本旨、法律主義を憲法が保障 車の両輪 住民自治→地域住民の自由な意思に基づいて地方自治が行われるべき 団体自治→国から独立した地方公共団体によってこそ地方自治が行われるべき 国と地方の関係 機関委任事務の廃止 →自治事務→地方公共団体が処理する事務 →法定受託事務→国や都道府県の関与が必要で、国が関与する場合は法令の根拠が必要 →国地方係争処理委員会→違法確認訴訟(高等裁判所) 二元代表制度→直接選挙で首長と議員を別々に選挙する制度 道州制→地方分権化(decentralization) 憲法改正 憲法改正→憲法典の定めに従って修正、削除、追加すること 各議院総議員数の3分の2以上の賛成による国会の発議 国民投票における過半数の賛成(国民の承認) 2007年「日本国憲法の改正手続に関する法律」(国民投票法) 国会法「日本国憲法の改正の発議」 国会の発議 提出 衆議院100人以上、参議院50人以上の議員による提出が必要 発議→各議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要 国民の承認 国民投票法→憲法改正の発議の日から60日から180日の間で行われる 投票総数の2分の1超の賛成→国民の承認 天皇による公布 「国民の名で、この憲法と一体をなす者として、直ちにこれを公布」 平和主義 日本国憲法 第二章 戦争の放棄 CHAPTER II. RENUNCIATION OF WAR 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 Article 9. Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized. 一般的な理解→戦争放棄とは自衛権の放棄までも意味するものではない。→国民の生命や財産を侵略国軍から守るための自衛権は放棄していない。 日本政府の公式見解→憲法9条が放棄した戦争は侵略戦争だけであって、武装・武力威嚇・武力行使に至らない程度の自衛権の行使(自衛目的の武器の使用)は放棄しておらず、自衛のための必要最小限度の実力を備えたとしても憲法9条に違反することはない。 日米安全保障条約(日米安保条約)←憲法が最高法規、条約が優先? 旧安保条約(1951年) 新安保条約(1960年) →アメリカの対日防衛義務 日本の憲法の範囲内での日本の防衛能力整備努力義務、防衛のための自助努力、施設・区域の提供義務 集団的自衛権 ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利 防衛→自国の専守防衛→防衛の概念の拡張→同盟国のための防衛
- われらの会社法24 公司的资金周转 发行股份
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの会社法24(会社の資金調達、募集株式の発行)> ラジオ収録20210116 資金調達Finance <内部資金調達> 内部留保→剰余金を配当しないことによる、減価償却による <外部資金調達> 銀行借入れ→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本 社債の発行→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本 株式の発行→going concern継続会社→株主に返済する必要なし→会社の資金→自己資本 ※銀行借入れと社債の違い 銀行借入れの場合、融資する銀行にとってリスクが大きい 社債の場合、小口化して証券化(リスク分散)するので、個々の投資家のリスクは比較的小さい 株式発行による資金調達(Equity Finance) →新株の発行、新株予約権の発行、新株予約権付社債 募集株式の発行 発行方法 ①株主割当て→既存の株主にその持株比率に応じて割り当てる→株主は新株を引き受けることができれば、その持株比率に変動なし ②公募→既存の株主だけでなく、それ以外の投資家も募集するので、株式を割り当てられる可能性がある。→既存の株主の持株比率は維持されない。 ③第三者割当て→一本釣り→縁故により特定のスポンサーに声をかける→他の者(既存株主・一般投資家)はその株式を割り当ててもらう権利がない。→既存の株主にとっては持株比率の低下につながる。他方、会社にとっては、迅速な資金調達が可能。→第三者は株式の価格のディスカウントを要求した場合→有利発行→既存株主にとっては、は持株比率の低下のみならず、一株あたりの価値の低下も免れない。 授権資本制度 定款で発行可能株式総数の定め(会社37条1項、2項)=授権枠→取締役会決議による募集株式の自由発行枠(会社199条2項、201条1項) 会社設立時の発行→発行済株式総数の4分の1(残りの4分の3は取締役会の自由裁量枠) 授権枠内での取締役会の発行の自由裁量→資金ショートによる倒産を防ぎ、機動的資金調達を確保するため 授権枠を超えた発行には、取締役会の裁量なし→それでも資金を調達したい場合→生ビールのジョッキの変更→定款変更 生ビール中ジョッキ→生ビール大ジョッキ 新株発行の手続 公開会社では、有利発行の場合を除き、取締役会決議で募集事項を決定(会社201条1項、202条3項3号)→授権枠の範囲内で新株を発行して、割り当てることは取締役会の自由裁量→割当て自由の原則→原則として、誰にどれだけ割当ててもいい。 有利発行(時価よりも安い価格での発行)の場合は、株主総会特別決議による承認も必要。 非公開会社では、原則として、株主総会特別決議で募集事項を決定(会社199条2項、309条2項5号) 募集事項→公開会社では取締役会が決定 ①募集株式の数、種類 ②払込金額またはその算定方法 ③現物出資の場合はその内容・価額 ④出資の履行(払込み・給付)の期日または期間 ⑤増加する資本金・資本準備金 募集要項の株主への通知または公告→払込期日の2週間前まで →ただし、有価証券届出書を提出している場合、通知・公告は不要 新株発行の副作用 希釈化、希薄化(dilution) ・持株比率の低下 ・1株あたりの価値の低下(有利発行の場合) 会社による募集事項等の通知・公告(会社201条3項以下)→株主に発行の差止請求の機会を付与 申込み→割当て(割当て自由) 有利発行 →募集株式を引き受ける者に特に有利な払込金額で募集株式を発行する場合→株主総会特別決議による承認 募集株式を引き受ける者→株主割当以外のすべての者が含まれ、第三者割当ての場合に限られない。 特に有利とは→市場株価からのディスカウント価格 なぜ株主総会特別決議の承認を要するのか? 判例(最判昭50・4・8民集29・4・350) 上場会社の募集株式の公正発行価額は、新株主に急株主と同等の資本的寄与を求め、発行価額は旧株の時価と等しくなければならないという旧株主の利益と、新株を消化し会社が有利な資本調達を実現するという利益との調和の中に求められるべきである。 支配株主が出現する募集株式の発行 支配株主(議決権50%を超える株主) 第三者割当ては、取締役会が、会社の支配株主となる者を決める手段、企業買収防衛手段としても利用可能。 しかし、誰が会社の支配者となるかは株主総会が判断すべき事項ではないか? 会社206条の2→公開会社において、株式引受人の持株割合が2分の1を超えることとなる募集株式の発行について、総株主の10分の1以上の議決権を有する株主が反対を申し出たときは、株主総会の普通決議による承認を要する。 →なぜ、株主総会の普通決議なのか?→誰が会社の支配株主になるかは、取締役の選任決議と同様、議決権の過半数による多数決で決するのが適当だから。 新株発行の瑕疵(不公正発行) 事前の措置(発行の差止請求) →株式会社が法令・定款に違反し、または著しく不公正な方法であり、これにより株主が不利益(持株比率の低下・一株価値の低下等、希薄化)を受けるおそれがあるとき→株主は会社に対し、発行の差止めを請求できる(会社210条1号・2号) 例えば 法令違反→公開会社なのに、取締役会決議がない 有利発行なのに株主総会特別決議がない 定款違反→定款の発行可能株式総数を超えた新株発行 定款にない種類株式の発行 著しく不公正な方法→支配権に争いがある場合において、経営者が支配権維持・強化のために、自派にのみ株式を発行するなど不当な目的による場合、資金調達の必要性がない。→不公正発行 主要目的ルール 現経営陣の支配権維持目的>資金調達目的(資金需要は常に生み出せる) (支配権が争われている場合の推認) 事後の措置(無効の訴え・不存在確認の訴え) 新株発行無効の訴え 提訴権者→株主、取締役、監査役 提訴期間→効力発生日から6ヶ月以内 無効事由→特に法定されていないが、取引安全の見地から重大瑕疵に限定 ①発行可能株式総数を超過する発行 ②定款にない種類の株式の発行 ③裁判所による差止仮処分命令に違反した発行 ④差止事由が存在するにもかかわらず、株主への通知・公告を欠く発行 無効事由とならない場合 ①株主総会特別決議を欠く第三者への有利発行 ②公開会社における取締役会決議を欠く代表取締役による発行 ③著しく不公正な方法による発行 無効判決の効力 →第三者にも判決の効力が及ぶ→対世効 将来に向かって効力を失う→将来効(遡及効なし) 不存在確認の訴え →新株発行の登記はあるが、法定手続を経ておらず、払込みもない場合、代表権がない者が発行した場合等 いつでも、誰でも、訴えを提起できる。
- われらの会社法23 董事对第三者的责任
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの会社法23(取締役の対第三者責任)> ラジオ収録20201213 講師 楠元純一郎(法学者) 録音師 レオー(美術家) ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) jialin(大学院博士課程) 取締役(役員等)の対第三者責任(会社429条) 取締役の会社に対する責任(会社423条)→会社に対する任務懈怠→会社に損害→会社に対して損害賠償責任→故意・過失 取締役の対第三者責任(会社429条)→会社に対する任務懈怠→第三者(債権者・株主等)に損害→第三者に対して損害賠償責任→職務を行なうにつき悪意・重過失(軽過失の場合の責任免除) →会社350条→代表取締役が第三者を加害→会社が第三者に不法行為責任を負う。 取締役の対第三者責任の根拠が、取締役(役員等)の会社に対する任務懈怠→会社に対する任務懈怠がどうして第三者に対する責任となるのか? 会社429条の法的性質論 会社と取締役(役員等)の関係(委任または準委任の関係)→取締役等は会社に対して善管注意義務を負っている。→取締役等は第三者に対して善管注意義務を負っているわけではない→取締役等は会社に対しては損害賠償責任を負うし(会社423条)、また、第三者にも対しても損害賠償責任を負う。 →取締役は第三者である債権者とか株主に対して直接、関係がない。 ※契約関係あり→契約責任→債務不履行責任(過失責任)←善管注意義務も債務 契約関係なし→不法行為責任(過失責任) →なのになぜ、会社429条は第三者に対する責任規定(会社に対する任務懈怠責任)を定めているのか?→その法的性質は、民法709条の不法行為ではないのか? その法的性質について、判例(最大判昭44・11・26民集23・11・2150頁)→「株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しかも株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により義務に違反し、これによって第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによって損害を被った結果、ひいて第三者に損害を生じた場合(間接責任)であると、直接第三者が損害を被った場合(直接責任)であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の責めに任ずべきことを規定したのである。」 →両損害包含説→最高裁→取締役の対第三者責任の法的性質について、不法行為ではなく、第三者保護のための特別の法定責任 私法上の責任 契約責任(債務不履行責任) 不法行為責任 特別の法定責任 民709条(不法行為)→故意・過失、過失=軽過失・重過失→軽過失でも責任を負う 会社429条→悪意・重過失、重過失=軽過失を含まない過失(軽過失の場合→責任免除)→軽過失があったぐらいでは、第三者に対して責任を負わない →役員等の責任を軽減した規定 重過失→ほんのちょっとだけ注意すれば結果を予見できたり、回避できたような過失 会社429条でいう第三者とは? 第一者 取締役を含む役員等 第二者 会社 第三者 会社・当該役員等以外の者(債権者・株主) 会社429条の要件 ① 役員等が職務を行なうについて悪意・重過失(任務懈怠) ② 第三者の損害の発生 ③ 任務懈怠と損害との間の相当因果関係 損害の範囲(会社429条で救済される第三者の損害の範囲は?) 直接損害→取締役等役員が第三者に直接損害を与えた場合→弁済の履行見込みのない金銭の借入れ、手形の発行(代表取締役が会社が倒産することが確実となったことを認識したあとで、融資を受ける等)→この場合、会社に損害は?→融資を受けたら、会社の資産は増えることから損害はない。→倒産状態になった後、会社でお金を借りても、会社の資産は増えることはあっても減ることはないから、会社に損害は発生しないが、倒産後は第三者に直接損害を与える。お金を借りる行為=金銭消費貸借契約=取引→詐欺(欺罔し、錯誤に陥れ、金品を受け取り、相手に損害を与えること)→取引的不法行為→取締役(役員等)は第三者に対しては善管注意義務を負っていないから不法行為責任以外では説明がつきにくい。 間接損害→取締役の放漫経営(いい加減、でたらめ、杜撰、やる気がない、慎重さを欠く経営)によって会社を倒産させ、まず会社に損害を与え、会社の資産が減少した結果、第三者も弁済を受けられなくなり損害を受ける場合(放漫経営で会社を倒産させ、その結果、債権者が会社から弁済を受けられなくなること)。→倒産前に放漫経営により、まず、会社に損害が発生し、次に第三者に損害が及ぶ。→取締役(役員等)が会社に対して善管注意義務を負っていることと親和性があり。 会社429条が適用される損害とは? <直接損害説(間接損害不要説)> 私見! 直接損害とは、取締役等役員の悪意・重過失による任務懈怠により、会社には損害は発生しないが、第三者に直接、損害が発生する場合。 直接損害の場合、民709条も適用される可能性がある。 直接損害説は、会社429条を民法の不法行為の特則であると捉え、民709条は適用されないとする。会社429条は取締役を保護する趣旨であり、その責任を軽減するための不法行為責任の特則であるとする説であり、ここでは、民法の不法行為の規定は適用されない。→不法行為特則説→民法709条の不法行為責任の要件は故意・過失であるのに対し、会社429条の要件は悪意・重過失であり、軽過失が免除されていることから、取締役等の責任を軽減する趣旨である。※取締役はいろいろなリスクに晒されていることから、責任を厳しくすると経営が萎縮して人材を集めることが困難となることから、その責任を特別に軽減したの。 この説の弱点→会社429条の任務懈怠は会社に対する任務であって、第三者に対する任務ではない。では、なぜ、取締役等の第三者に対する責任が構成されるのか?→これに対して一部の学説は、第三者を害することは会社の信用を傷つけることだから会社に対する任務懈怠といっていいはずと反論。 この説の利点→不法行為の場合は、第三者(自己)に対する直接の加害行為があったことを原告は立証しなければならないのに対し、会社429条を適用すれば、会社に対する任務懈怠があったことを立証すればよい。※第三者を害することが、なぜ会社に対する任務懈怠となるのか?→第三者を害さないように配慮することが、取締役の会社に対する任務の一部となっているのか?会社法の目的→債権者に配慮しつつ株主の利益を保護すること。→そうであるとすれば、取締役の任務も株主の利益保護だけでなく、債権者の利益も配慮することにあるのではないか? 両損害包含説(判例)は、民709条と会社429条のいずれも適用されるとしている。 <間接損害説への鋭い批判> →間接損害のように、まず会社に損害を与えたのであれば、第三者が債権者であれば、債権者代位権(民423条)により、第三者が株主なら株主代表訴訟により、取締役に会社に対し賠償(会社423条の会社に対する責任)をさせれば第三者の損害も回復するはずであるから、間接損害の場合には会社429条は適用されない。 <間接損害説(直接損害不要説)>→直接損害は第三者に対して直接的な加害行為があった場合を想定しているものであり、まず会社に損害を与え、その結果、第三者に損害が発生したのであれば、直接の加害行為があったとはいえないから、会社429条は間接損害に限定すべきである。直接の加害行為については、民法の709条の不法行為責任規定を適用すべきであるとする説。 <両損害包含説(判例)>→特別の法定責任説→会社429条の趣旨は、第三者を保護する趣旨であり、取締役等の特別の法定責任であり、民法の不法行為責任との競合も認める(請求権競合説)。 <民709条と会社429条の比較> 民709条→故意・過失、第三者(自己)に対する直接の加害行為→軽過失でも責任追及ができる 会社429条→悪意・重過失、会社に対する任務懈怠→自己に対する直接の加害行為があったことの立証は不要、取締役の悪意または重過失の対象は、第三者に対する加害でなく、会社に対する任務懈怠で足りる。 (役員等の第三者に対する損害賠償責任) 第四百二十九条第1項 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 ※取締役等役員の会社に対する責任 会会社423条→①職務を行なうについての任務懈怠、②過失責任(重過失・軽過失)、③損害の発生、④任務懈怠と損害との相当因果関係→役員等は会社に対して損害賠償責任 取締役等役員の第三者に対する責任 会社429条1項→①職務を行なうについての任務懈怠、②悪意・重過失(軽過失免除)、③損害の発生、④任務懈怠と損害との相当因果関係→役員等は第三者に対して損害賠償責任 <任務懈怠でも虚偽記載については責任を加重> →過失推定責任(役員等に過失がなかったことの立証責任を転換) 2 第2項 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったこと(過失がなかったこと=無過失)を証明したときは、この限りでない。 一 取締役及び執行役 次に掲げる行為 イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録 ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 ハ 虚偽の登記 ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。) 二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 虚偽の開示(通知・計算書類・登記・公告)に関する責任 開示を信頼した第三者→損害→取締役(役員等)の第三者責任 会社429条1項→悪意・重過失 会社429条2項→開示責任の厳格化→過失責任→取締役など役員等は、立証責任(反証責任)が転換された過失責任→過失推定責任。
- われらの商行为法09 交互計算
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <LeoNRadio日の出 われらの商行為法09(交互計算)> ラジオ収録 20201128 講師 楠元純一郎(法学者) 録音師 レオー(美術家) ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) 交互計算(商529条〜) 平常取引関係がある当事者間で取引のつど決済するのは煩雑でリスクあり そもそも決済にはリスクもありコストもかかる。 交互計算→一定の期間を定めて、期末に債権と債務を相殺して、残額の債権額を確定し、一回の決済で弁済をする方法。 鉄道会社間の交互計算 銀行と預金者間の利息の計算にかかる交互計算 <要件> 商人間または商人と非商人の契約 平常取引関係にあること 当事者が相互に債権・債務を負担し合うこと 交互計算に組み入れる債権・債務の範囲→取引で生じたすべての債権・債務 期間は特に別段の定めがなければ6ヶ月 <効果> 消極的効果→交互計算不可分の原則→交互計算に組み入れられた個々の債権は個別に処分(譲渡・質入れ)できず(処分禁止)、商業証券の債務者が弁済をしない場合を除き、債務も除外できない。 交互計算不可分の原則の第三者効→個別の債権が善意の第三者に処分された場合、交互計算の契約当事者はこの原則を第三者に主張できるか? →争いあり →判例は交互計算に組み入れられた債権に対する第三者による差し押さえを無効としている。 →学説には第三者は債権者代位権を行使して交互計算契約を解除して残債権額を確定した後に差し押さえることは可能とするものあり。 積極的効果→交互計算期間の満了により債権債務の総額について一括相殺がなされると残額債権に更改され、それについて計算書類が作成され、承認されればその残額債権額は確定するが、その承認をしたときは、計算書の記載に錯誤または脱漏がない限り、異議を述べることができなくなること。 交互計算の終了→契約の一般的な終了原因に加え、商法は、各当事者がいつでも解除できる、解除告知権を認めている。
- われらの会社法22 股东代表诉讼 多重代表诉讼以及其他的责任追究手段
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」 エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」 作詞作曲 楠元純一郎 編曲 山之内馨 <われらの会社法22(株主代表訴訟・多重代表訴訟とその他の責任追及手段)> ラジオ収録20201128 取締役その他の役員等による任務懈怠責任→会社に損害→会社に損害賠償請求権 会社の代表者→代表取締役 会社と取締役間の訴え→監査役が代表 提訴懈怠 株主→提訴請求 →60日以内に会社が訴えを定期しないとき→株主代表訴訟(会社847条3項) 会社→不提訴理由書の通知 訴訟手数料→訴訟手数料は13000円 濫訴の問題→担保提供 馴れ合い訴訟→共同訴訟参加 和解→監査役全員の同意 被告取締役が気の毒な場合→会社による補助参加(監査役全員の同意) 多重代表訴訟(特定責任追及の訴え) 親から子への上から下への監督 完全親会社の議決権・発行済株式のⅰ%以上の株式を6ヶ月前から保有する株主は、重要な子会社の発起人・役員等に対して、特定責任追及の訴え(多重代表訴訟)を提起できる。 重要な子会社→最終完全親会社等とその完全子会社等における当該株式会社の株式の帳簿価額が、当該最終完全親会社等の総資産額の5分の1を超える場合の完全子会社等 最終完全親会社等→その会社の完全親会社等であって、その完全親会社等がないもの その他の責任追及手段 株主による差止請求権→1株以上、6ヶ月前から保有→その行為によって「著しい損害」が生ずるおそれがあるとき→監査機構がある場合→「回復することができない損害」→要件の厳格化 検査役の選任請求権→議決権・発行済株式の3%以上を保有する株主→会社の業務・財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役の選任の申立てをすることができる。 役員解任の訴え→議決権または発行済株式の3%以上を6ヶ月前から保有する株主→役員に法令・定款に違反する重大な事実があったにも関わらず、その役員の解任議案が株主総会で否決されたときなど→総会の日から30日以内に解任の訴えを請求できる。